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気管支喘息

気管支喘息とは

空気の通り道となる気道が狭くなって、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」した喘息発作を繰り返す病気です。

気管支喘息の『リモデリング』を予防するために

喘息発作は少し苦しいですが、回復して元に戻るので、一見それほど問題ないようにも思えます。しかし気道には炎症が起こっているため、気道はだんだん硬く、元に戻らないようになってしまいます。これを『リモデリング』といいます。リモデリングが進むほど、気管支喘息は重症化してしまいます。

気道炎症は、喘息発作時はもちろん平常時においても起こっています。よってリモデリングは、喘息発作時だけでなく平常時も進んでしまっています。すると一見気管支喘息は治ったようにみえていても、大人になったときに気管支喘息が悪くなっていることも少なくありません。たとえ発作がなくても、適切な治療を毎日行って、気道炎症を平常時から抑えることが大切です。

気管支喘息とアレルギー性鼻炎『One airway, one disease』について

気管支喘息がある人は、高率にアレルギー性鼻炎を合併しています。気管支喘息とアレルギー性鼻炎は同じ空気の通り道で互いに影響し合っているので、どちらか片方が良くなれば、もう片方も良くなります。これを『One airway, one disease』といいます。気管支喘息を良くするために、アレルギー性鼻炎も同時に当院で治療いたします。

当院で行える呼吸の検査について

乳幼児は呼吸の検査ができないので、正確に気管支喘息を診断するのは困難だとされています。その場合、血液検査でアレルギー体質かどうかを確認して、治療を試しに開始して、成長してから呼吸の検査をしています。

<肺機能検査(スパイロメトリー)>
大きく息を吸った状態から、一気に息を吐ききる検査です。気道がどの程度狭くなっているかを客観的に評価する方法です。小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020では、毎回の病院受診で検査するように推奨されています。

<呼気一酸化窒素検査(FeNO)>
吐く息の中に含まれる一酸化窒素(NO)の量を測る検査です。気道炎症が十分抑えられているか判断するのに役立ちます。

治療の3本柱について

  1. 吸入ステロイド薬とロイコトリエン拮抗薬
    吸入ステロイドは気道炎症を強力に鎮めてくれます。ステロイド含有量は少なく、ほとんど吸収されませんので、ステロイド内服のような副作用は起きません。協力かつ安全ですので、気管支喘息治療のエースといえます。ただし適切な方法で吸入しないと、効果が発揮されません。適切に吸入できている人はわずか40%程度だという報告もあり、案外難しいものです。適切に吸入できるよう、しっかり吸入指導いたします。
    ロイコトリエン拮抗薬は飲み薬で便利ですので、この薬剤だけで治療することもあります。ですが気道炎症を鎮める効果は弱いので、喘息発作が一度でも起こるようなら、吸入ステロイドを併用するようお勧めします。
    当院で十分な治療ができなければ、アレルギー診療が得意な総合病院に紹介します。特殊な検査や注射薬なども含めた治療も考えてもらいます。

  2. 体力づくり
    適度な運動やバランスとのとれた食事、十分な睡眠、規則正しい生活を心がけましょう。運動は何でもよいですが、特に水泳がお勧めです。

  3. 環境設備
    気管支喘息を悪くする要因として、たばこ、煙、PM2.5、花粉、ペットなどがありますが、最も大切なのはダニ対策になります。どう対策すればよいか当院で説明いたします。

気管支喘息治療のゴールについて

  1. 治療を続けることで、発作が全くない
  2. 大人になったときに気管支喘息が悪化しているのを予防する

気管支喘息は、発作があろうとなかろうと気道炎症が起きています。早期に適切な診断を受けて、吸入ステロイド等の治療を十分に続けましょう。