食物アレルギーとは
食物に対する免疫学的な反応によって、からだに有害な症状が引き起こされることです。
原因食物について
原因食物は、0歳児においては鶏卵、牛乳、小麦が多いです。近年は1歳以上で魚卵、木の実類(クルミなど)、果物類が増えております。原因食物によって様々ですが、年齢が上がるにつれて治りにくくなる傾向があります。
(表)出典:今井孝成ら消費者庁「食物アレルギーに関する食品表示に関する調査研究事業」平成29(2017)年 即時型食物アレルギー全国モニタリング調査報告書、アレルギー、2020 ※別サイトに遷移します
消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」平成29(2017)年 即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告 [PDF]
症状について
代表的な症状は以下の通りです。
- 皮膚症状:蕁麻疹がでる、赤くなる、かゆいなど
- 粘膜症状:目の充血や腫れ、口腔がイガイガするなど
- 呼吸器症状:咳、ゼイゼイなど
- 消化器症状:吐く、腹痛など
- 神経症状:元気がなくなる、意識がもうろうとするなど
- 循環器症状:血圧低下、脈は早いなど
このうち皮膚症状が最も多く、約90%にみられます。短時間で全身性にアレルギー症状が起こる状態をアナフィラキシーといいます。特に生命にかかわる危険な状態になることをアナフィラキシーショックといいます。アナフィラキシー再発の可能性がある場合、エピペン🄬という特効薬を常に携帯することが勧められます。医師とご相談ください。
診察・検査について
診察
①いつ何を②どれくらい食べて③どれぐらいの時間の後に④どんな症状が起きて⑤それがどれぐらい続いたかをお尋ねします。これらについて、できるだけ記録しておいてください。
血液検査・プリックテスト(皮膚テスト)
「食物経口負荷試験の手引き2020」によると、食物の血液検査またはプリックテストが陰性であれば、その食物のアレルギーである可能性は低いので、自宅での摂取を考慮しても良いとされています。(もし自宅で食べるのが心配なら、病院で食べても良いと思います。)なおこれらの検査で反応が陽性と出た食物でも、食べてアレルギー症状がでなければ食物アレルギーではなく、除去する必要もありません。
食物経口負荷試験
食物経口負荷試験は診察や検査で疑われた食品を、実際に病院で食べてみる試験です。①食べることができるか(原因食物の同定)②どのくらいの量なら食べられるのか(安全摂取可能量の決定)③食べられるようになったか(耐性獲得の確認)を実際に食べて判定する最も確実で信頼できる検査です。
治療について
食物アレルギーは「原因食物が湿疹から入ると悪くなる」と考えられています。スキンケアや塗り薬を使って、皮膚のバリア機能を保ちましょう。さらに「原因食物が口から入ると良くなる」とも考えられているので、食べても安全な量を積極的に食べましょう。安全な量は人それぞれ違うので、食物経口負荷試験で調べましょう。気管支喘息の治療が不十分だと、アナフィラキシーが重篤になってしまう傾向があります。気管支喘息なのかどうか検査して、しっかり治療しましょう。